本リポジトリは、東京のアマチュアオーケストラ
Orchestra Est
が提供する曲目解説や各種資料のアーカイブです。
次回演奏会:2024年12月1日(日)昼公演 於 ミューザ川崎 シンフォニーホール。詳細は本ページ下部をご覧ください。チケットのお申し込みはこちらから!
ヨハン・ゼバスティアン・バッハ
本作品は、バロック音楽の中でも「フランス風序曲」というジャンルに属する組曲で、序曲の後、クーラント、ガヴォット、フォルラーヌ、メヌエット、ブーレ、パスピエの順に、様々なフランス風の舞曲が続きます。 編成上は、この時代の作品の特徴として(本作品に限りませんが)、「通奏低音」の存在が挙げられます。ファゴット、チェロ、コントラバス、チェンバロ(本日は電子キーボードで演奏)からなる低音楽器群は、全員が常にほとんど同じ楽譜を演奏し、アンサンブルの低音を支えます。これは、木管・弦・鍵盤楽器の役割が高度に分化した19世紀以降のオーケストラには見られない特徴です。
バッハは、32歳から38歳まで、ケーテンという小さな宮廷都市で宮廷楽長を務めていました。本作品は、この時代の作品と考えられています。作曲の背景として、ケーテン宮廷に当時の王子がフランス留学から持ち帰った最新のイタリア・フランス音楽の楽譜が蓄積されていたこと、および、宮廷が当時としては大規模な16人もの楽団を有していたこと(偶然にも本日の演奏メンバー数18人とほぼ同じ!)が考えられます。また、ケーテン宮廷はカルヴァン派の教会に属しており、(ルター派と対照的に)礼拝に音楽を含めることを好まなかったため、バッハは宗教音楽の作曲に時間を割く必要がなく、本作品のような世俗音楽に専念できたのかもしれません。……と、いつものように堅い解説になってしまいましたが、本作品は舞曲ですので、楽しげなダンス・ミュージックのリズムを感じながら、様々な楽器の活躍にも注目しつつ、お気軽に楽しんでいただければ幸いです。