この他にも多様な編成に対応する楽譜をページ末尾に用意しています。
楽譜は、無料でダウンロードできます。この楽譜には著作権があります。この楽譜の転載を禁じます。この楽譜は、入場料を徴収する演奏会においても演奏に利用できます。演奏に利用いただける場合、ご一報いただけると校訂者の励みになります(必須ではありません)。
Ewaldの金管五重奏曲第1番は、金管五重奏の最も有名なレパートリーの1つとして、世界中で愛されています。しかしながら、その演奏機会の多さに反して、自由に入手でき、良質な校訂を経た、決定版というべき楽譜は存在しませんでした。 この新校訂版は、これまでの版を置き換えることを目的とした、演奏者による演奏者のための版です。
内容においては、これまでの版に見られた一貫性のない異名同音表記やリズム表記等を解消し、演奏者に無用な混乱を生じさせることがないようにしました。また、組版(デザイン)の面では、これまでの版よりもパート譜が見やすく、めくりやすくなるよう、ゆとりを持たせて組版を行いました。
この新校訂版は、2023年2月に初めて実演で使用されました(Strings Da Vinci 第7回演奏会)。
本校訂版の作成にあたっては、M.P. Belaieff 社 1912 年版 (IMSLP #34572) を底本とし、David R. Thomas 編集 Music Express 社 1992 年版(Tと略記)も参照した。
底本では、異名同音の表記が一貫性を欠いており、和声構造が不明瞭な部分が多かった。三和音の構成が明確になるように、異名同音の書き換えを多数行った。一例を下記に示す。
校訂者の判断により、異名同音の書き換えではない音の変更を行ったのは、下記の2か所のみである。
下記の2か所は、版によって異同がある。
第2楽章の5拍子は、常に「2拍子+3拍子」の合成により構成されている(破線の小節線は説明のために補った。以下同じ)。
しかしながら底本では、一部にこの拍節構成と整合しない記法が用いられている。これらの小節は、本来の拍節構成が明確となるように、タイを用いて書き直した。なお、177小節のTp. 1では原表記に忠実な音価を表すならば[B]のように表記するべきであるが、四分音符のタイが奏者に与える視覚的効果により音価が必要以上に長くなることを防ぐため、校訂者の判断により[A]のように表記を改めた。190小節のTp. 2, Hns., Tubaも同様である。
強弱記号および松葉のクレッシェンド・デクレッシェンドは、底本を参考に、フレーズやパート間の一貫性を考慮し、一部の始点・終点を変更した。
演奏者の便宜のため、伝統的に使われてきた練習番号、および小節番号の付番法(楽章ごとに1から振り直さない)を踏襲した。
本作品は本来、2本のコルネット、アルトホルン、テナーホルン、チューバのために作曲された。原編成および楽器の調性を明示するために、第1楽章の冒頭の前にインキピットを記載した。なお、原編成の楽器のためのパート譜も作成しており、このページから入手できる。
各パート譜は、既存の版では4ページに収められていることが多かったが、本批判校訂版では余裕を持たせて7–11ページに組版した。各パートは奇数ページの終わりに休符が現れるように調整されている。ただし、Hn., Tbn. は長休符が少なく、2小節未満の休符でページをめくらざるを得ない箇所があるため、可能であれば3ページを見開きとするように製本するのが望ましい。
パート# | 原編成 | 現代の金管五重奏編成 | 現代のオーケストラ楽器向け編成 (校訂者の推奨) |
その他のパート譜 |
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1 | Cornet 1 in B♭ | Trumpet 1 in B♭ | Trumpet 1 in C | — |
2 | Cornet 2 in B♭ | Trumpet 2 in B♭ | Trumpet 2 in C | — |
3 | Althorn in E♭ | Horn in F | Horn 1 in F | — |
4 | Tenorhorn in B♭ | Trombone | Horn 2 in F | Trombone in B♭ |
5 | Tuba | Tuba | Tuba | Bass in B♭ Bass in E♭ |
Score | — | この編成のためのスコア (トランペットは in B♭表記) (トランペットは in C表記) |
この編成のためのスコア (トランペットは in C表記) |
— |
校訂者は、上から4番目の(現代ではトロンボーンで演奏されることが多い)パートを、トロンボーンの代わりにホルンで演奏することを推奨します。